一滴塾
一滴塾は、京都を中心として今もなお豊かに生き続けている伝統的な日本文化を、より深く学び、体感していただくための企画や講座を提供する会です。
京都芸術大学の歴史遺産学科で長年教鞭を執ってきた栗本德子は、通信教育部でフィールドワークを駆使した人気授業を多数企画、実施してきました。2022年春、定年を迎え名誉教授となったことで、こうした学びをより広く、多くの人に提供したいとの思いから、教職員茶道部の仲間3人で会を結成しました。会の生まれた場は、まさに同大学の茶室「颯々庵」でした。
茶道の縁で繋がった私たちは、禅語「一滴潤乾坤」に倣って会の名を「一滴塾」としました。これには、人々の生活や人生そのものを豊かに潤すような「知の探訪」の機会を創出したい、との思いを込めています。そして、先人たちが古の頃から永々と繋ぎ、また現在もなお生きている伝統文化の現場を訪ね、五感で体感しながら学ぶことに重きを置きたいと思います。
思えば、京都芸術大学の創立者 徳山詳直氏が、「芸術・文化」による国づくりの志を立てたのは、松風が渡りゆく「颯々庵」のすぐかたわらの地でありました。2014年に他界した同氏の遺志に少しでも寄与できることを願いつつ、受け継がれてきた大切な「もの と こころ」を感受することで、現在を生きる人々にとってこれからの行き先を考える「智」の一雫となれることを目指してまいります。
企画・講座 京都 八瀬赦免地踊を訪ねる
− 朝廷と深いつながりを持つ八瀬童子が、300年以上守り継いだ幻想の灯篭祭を、八瀬研究の第一人者とともに −
開催日:2022年10月9日(日)
八瀬の里は、京都市の北東、高野川沿いの山間にあり、京と若狭を結ぶかつての鯖街道沿いに位置する集落です。この地には、古代の壬申の乱で矢傷を負った大海人皇子(おおあまのおうじ/後の天武天皇)が、湯治のために「かまぶろ」に入ったという伝承があるほか、天皇家との関わりが深い里として知られています。
ことに南北朝時代、足利軍勢に追われた後醍醐天皇が比叡山延暦寺に逃れた折に、「八瀬童子」と呼ばれた八瀬の人々がお助けしたことから、年貢・公事課役の免除が与えられ、また室町時代以降 天皇の臨時の駕輿丁(かよちょう/高貴な人物の載る輿を担ぐこと)も務めました。
宝永 7 年(1710 年)比叡山との境界論争が勃発した際、時の幕府老中の秋元但馬守喬知(あきもとたじまのかみたかとも)の尽力により、八瀬にとって不利な裁定が覆され、特権を与えられました。このことを喜び、その後急逝した秋元公の御霊を氏神八瀬天満宮の本殿横に祀りました。この秋元社例祭に奉納されるのが「赦免地踊」で、八瀬童子により 300 年以上守り継がれているものです。
祭礼の夜、とっぷりと暮れた八瀬の里を、薄化粧で小袖を着けた「燈籠着(とろぎ)」と呼ばれる少年らが、八瀬の人々が手ずから作った精緻な切り絵を貼り込む灯籠に火を灯し、頭に掲げて秋元神社へと向かいます。境内では厳かに音頭が唱えられ、燈籠着や男衆らが境内を巡ります。
本企画では、室町時代発祥の風流踊(ふりゅうおどり)の流れを汲むこの赦免地踊を、八瀬の歴史研究の第一人者 宇野日出生先生にご案内いただきながら、現代に蘇るいにしえの幻想世界を堪能します。なお、本企画は中学生以上を対象としています。
スケジュール
15:30 | 八瀬かまぶろ温泉 ふるさと 集合 |
15:35 | 全体説明 |
15:45 | 宇野日出生先生 講義(60分) |
16:50 | 八瀬各所見学(かまぶろ、秋元神社他)(60分) |
18:00 | ふるさと にてお食事(60分) |
19:00 | 宇野先生の解説にて祭見学 |
21:30頃 | 祭終了・解散 |
講師プロフィール
お問合せ | 有限責任事業組合 一滴塾 E-mail: madoguchi@ittekijuku.jp ホームページ:https://ittekijuku.jp |
本稿は一滴塾HP掲載情報の一部を編集して転載しています。
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