『野村先生と行く鎌倉見学』ー参加者レポートー

『久々の鎌倉フィールドワークを振り返って』  太田 拓馬

造形大を卒業してから早2年を迎えようとする中、今回の野村先生の見学会を聞いて、喜んで参加いたしました。午前中は「環境」という観点からの都市鎌倉の講義を受講。

中世の都市と一口に言っても、古代や近世とは異なる多様な切り口や側面があること、観光等で流布される「イメージの都市鎌倉」とは異なる、中世の都市鎌倉の空間のご説明を受けることで、当時の様子だけでなく、現在のイメージが出来上がるまでの経緯、今後の都市鎌倉のPRの仕方など、様々な面で興味がわきました。そんなこともあり、たまたま見つけた藤沢駅近辺の古書店で、鎌倉についての書籍を買い込んでしまいました(笑)。ローレンス・ハルプリン「都市空間の演習 装置とテクスチェア」も是非読みたいと思います。

午後は、あいにくの雨ではありましたが、江の電で鎌倉へ移動し、御霊神社や甘縄神明宮、鎌倉歴史文化交流館の見学でした。御霊神社や甘縄神明宮の前方の道が、頼朝入府以前の鎌倉の主要道であると現地で聞くことで、当時の様子に思いをはせることができました。その後、懇親会までの間に、まだ行ったことがなかった腹切り櫓、紅葉山櫓、鎌倉宮、永福寺跡の見学に行くこともできまして、大満足の一日でした。

この度は、このような企画を作っていただきまして、どうもありがとうございました。改めて学びに対する意欲が高まりました。

 

『野村先生と行った、雨の鎌倉』  千島 麻美

「野村先生と行く、鎌倉見学」の案内をいただいた時の嬉しかった気持ちは、講座を終えた今も残っています。大学院を終えて2年が過ぎ、「歴史遺産の会」だけが大学との繋がりとなりました。本当に細々ですが、自分の中ではまだ研究を続けているつもりでおりますので、今回声をかけていただいて、折れそうになる心をリフレッシュする最高の機会をいただけたと感謝しています。

午前中は藤沢のミナパークで先生の熱のこもったご講義をいただきました。「鎌倉文化論」とはまた異なる切り口で鎌倉を考察するきっかけになりました。ご講義は、まるで「ブラタモリ」のように、地形や都市環境の視点から中世の鎌倉を分析する内容でした。特に印象に残ったのは鎌倉を大地震が頻繁に襲ったことです。関東大震災からすでに100年近くが過ぎ、そろそろ次の大地震の可能性が心配されています。鎌倉在住の者としては、中世にM7、8クラスの地震が複数回起こっていた事実は、歴史的な出来事というよりは、明日の自分事として受け止めました。

午後の集合は長谷の御霊神社でした。決して有名な観光地ではないですが、江ノ電が神社の敷地のすぐ前を走っており、アジサイと江ノ電という格好のインスタ映えスポットになっているので、境内には数多くの観光客が訪れていました。折悪しく午後の見学と同時に雨がこの日一番というくらいに激しくなりました。ここから次の見学地の甘縄神明社に行くには大混雑の長谷の交差点を通り抜けなければいけませんでした。西山さんはじめお世話係をされたメンバーには、迷子が出ないようにたいへんお気遣いいただきました。

無事人波を抜けて、ほとんど観光客のいない甘縄神明社に到着しました。ここは鎌倉最古の神社とも言われているところです。近くに安達氏の居館があったことを示す道標がありました。「足達」という表記についての解説をしていただきました。

最後の見学スポットである鎌倉歴史文化交流館へはそのまま歩きで行くことになり、僭越ながら人の少ない裏道をご案内させていただきました。路地の静けさも鎌倉の魅力の一つです。途中、「ここにヤグラがあります」と先生に教えていただきました。言われなければ気がつかないような法面にヤグラの空洞が見えました。

交流館では一時間近くゆったりとそれぞれのペースでの見学が可能でした。ここでもやはり関東大震災での鎌倉の被害に関する展示が目を引きました。野村先生の講座はここで終了となりました。先ほどの雨が嘘のように空は明るくなっていました。

懇親会では、初めてお会いする方々とも同じ「歴産つながり」というだけですぐに打ち解けることができて、楽しい時間を過ごすことができました。これもひとえにお世話くださった役員の皆様のおかげです。本当にありがとうございました。