平沢貞通(1892~1987)は、明治・大正・昭和にわたって活躍した画家です。
水彩画からテンペラ画へ転向した後、1928(昭和3)年に岡田三郎助らと「テンペラ画会」を結成。
その後、無鑑査・テンペラ画会会長の座にありましたが、56歳にして突如、囹圄(れいご)の人と
なりました。戦後の占領下、確証も無く戦後最大の毒殺事件の「死刑囚」に処された平沢の作品は、
捜査の目的で押収される、所蔵者が作品を手放す、雅号を削りとるなど、作品そのものが「無かった」
ように扱われ、散逸の一途をたどりました。
その一方で、支援者の厚い援助を得た平沢は、獄中で精力的に作画に挑みました。
それらの作品は今日も支援者のコレクションとして現存します。
本展は2022年、平沢貞通の生誕130年・没後35年を記念し、萌芽期の「不朽」「三味二」、
大成期の「大暲」、獄中期の「光彩」―4つの雅号の作品が一堂に会する初の絵画展です。
一人でも多くの方に御覧いただき、無鑑査・テンペラ画の大家の座にあった画家の生涯を
感じていただけたら幸いです。
〈京都芸術大学2022 年度研究・制作・発表助成制度対象〉矢部恵子
https://www.kyoto-art.ac.jp/production/?p=154733
平沢貞通(雅号・「不朽」) 《風景》 1909年、水彩、個人蔵
Leave a Reply
コメントを投稿するにはログインしてください。